256 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2010/06/27(日) 20:46:28 ID:966KN9V20
  ☆      ☆|||         | |                | *         *    |                 /\
              |||        |   |                |\    *  rγZ*(,イ,」☆|        <>        \/
    r''´`ヽ   ☆  |||          |    ',              ,' *\     でス_)※+E*| ◇
☆  |    | ,. -───-、___    | * ヽ               /     ̄ ̄`i* ☆r-γ´)|          ◇
__|    /             /     |_,. -  \           / ̄ ̄`ヽ,__,ノiYフEしょ'i´\       /`i           <>
                  /           ` ー--一''´/   ̄`7ー-、    〈,ハ,*(_ノ、|     \     /    | /\
                 |                     /    /     ̄Τ ̄` ー- |     ´ ̄ ̄`     |  \/
                 |         __   --一   ̄ /    /       |       |/           、|              /
                  \  ̄ ̄__   --一    ̄ ̄/    /        |   <>   |            |            \
 ̄ ̄|   ヽ、           \ ̄  __   --一   ̄/    /         |      |             |    <>
    |    | ` ー--一''´ ̄ ̄´)  ̄)      、◯!◯,. /    /          |     /\ヽ、          ,ノ
☆  |    |) )   ¨      (  (__  ◯※◯/    /           |r''´ ̄ ̄ ̄ ̄`       ´ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ  ◇
     ヽ_ノ        、 ◯,.    ̄ ̄)  ) ´◯`  _,. -''"´ ̄`"''-、       {{                       }__,、___,__
\/(_____    ◯※◯     {  {_, -、/           \     ` ー‐---‐一1       r─‐---‐一'´ \\\ヽ
  、◯,. ̄ ̄}  }   ´◯ ◯`        ̄ /   /               \ `ヽ,,___,. -─- |         |    / \\\\\\ヽ
 ◯※◯ (´ (´__           /'´   r,'                ヽ             |、    _    ,|    / 、\\\\\\
   ´◯i◯`   ̄ ̄`i  `i     i´ ̄`"''-、|_,. -|                  ',         |     i i     |__,/  \\\\\\\
      _____}    }   |  ,. -''"´|   |                    |  ` ー一'´ ̄ ̄ |     |   |     |   \\\\\\\\
   ( (    ̄ ̄  i´\ ̄  /`i     ',     ',                   |         |     |  |     | \\\\\\\\
 ___`) `)   |     ̄ ̄`   |     \    ヽ                /          |     |    |     | \\\\\\\\
( (´ ̄ ̄      |/         ヽ|        ` ー\             /           ヽ,,_ノ  ヽ,,_ノ 、\\\\\\\\
 ヽ二二ヽ    |  ,. -──-、|           `''-、 ____ ,. -''´                    \\\\\\\\\\\

257 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2010/06/27(日) 20:47:47 ID:966KN9V20
ー-─--┴ー-  |<´ _____, イ^)       _,. --──┐    ,′ lー-、                    \\\\\\\\\
 x     ( ̄         /      i´        |     /、   |   \  /\           _,. -一''"´ ̄}\\\\\ /
    ×   ` ー-,      _i´      \____,/     /  \| i´\/\エ  ヽエエエエエエヾ´        / \\\\  / o
            {_,. -''"´ ̄ \              -‐''´       \/ `''-、ヽ, -|-、__, -、_  ,. -'´       `ー、   \\  /  ◯
       X   \        ヾ ー--          \        }     ヾ) ノ   、/\ (__             )\/   ◯O
 Χ        X `''- 、_                 /\__,ノ        }_」  /\/\/ K´ ̄ ̄ ̄ ̄`ヾ´     o     ◯
       ×         x `i ーr'ー── -,-─一 '' ´ ̄´ /   |       /}__) 、/\/\  |  ` ー  ---一'´|'
     ,. -''"´`"''-、       |\‐` ー-,-一'´--─|──|/ `''-、_|___  /ノ\/\/\/`|ヽ       /|  ◯ ◯  o
X   /          \×  |: : \ー--|ー-●-─  |ー-/{ ー-●ー|(_ノ、_) _  \/\/\,   |   ___,  | ◯ O◯
    ,              ヽ ,.┼  、: : \●-─-─-●──` ー--十′    /   / `i  \/\/` l_/  、/\\_l    ◯     ◯
ー-/               ∨   |: : \: :   \ー-──-─-──-─--` ー''| /     | /\/\/\/\, /           ◯
:   ,′              | ┘:  : :',: : : \              ,. -'i"´ ̄ ̄ ̄ ̄,. -''"´ ̄`''-、  /\// ◯       o
 :|                |: : : :  :} : : : :  \ー●ー‐-─-‐  /   ',       /          \ /`/ ◯O◯

258 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2010/06/27(日) 20:48:38 ID:966KN9V20
: |                |: : : :   /  : : : : /--|ー●ー─,       \   ,             ',\/o ◯◯       ◯◯
   :',              ,': : : /:   : : :/ー-ー|-‐| ー●/         \  /              |, /          o    ◯O◯
: ヽ            /: : : /: : : :/ー-ー-ー|_|_|   ,′         ,′              |  ◯  o         ◯
: : \           / : : : |  : : /ー──-‐-,. -─一|       ,       |                 |  __,. -──-、___,. --、__
: : :  ` ー- -一 ''´`ヽ;___ノ  r ─‐,. -─ -、r'7´     |    |      |                 |
: : : : : : : : : : : : : :   r\/       ヽ|       ',     \    ',               ,′
: : : : : : : : : : : : :/ ヽ/         ', 、        ヽ      ` ー-ヽ            /
‐-─-──-─-‐-─-一'´ー--  |        |  ̄ ̄ ̄ ̄l\           \           /   /`i
/\/\/\/\/\/  r一',         ,' |ー-  | ー ●,ハ            ` ー- ,-‐ ヾ´     /     |   ___
/\/\/\/\/\/  ヽ/\        /\{ーー●─{ ヽ        ー─--‐一 ''´    \   /     ` ̄`     /
                   └‐一`iー--,‐''´   /|ー--┬ー` ー\           \       },′         ∨-、______
                      `ー‐′ \\| ̄ ̄|:::::::::: 「 ̄ `  ー─r----一 'i ´\__,ノ\          |`ミ三三三三
        ,. --、__,,ノ´\             //}__|:::::::::: |__|:::::::::: |_ ` ー一 '´ ___|::::: \  ',          ノ` ー───-
     /        \             \\|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄ヽ、     r一 ''´)   ̄ ̄ ̄ ̄¨
    /            \          //{:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::: |__  /       |-一'´ー--一'´ ̄ ̄ ̄

259 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2010/06/27(日) 20:49:22 ID:966KN9V20
    ,'                 \ _______   ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄| :::::::(__,,)    |        r'⌒ヽ
   |      厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\        //| }___|:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::::|    「    |      ヽ,__ノ
     |     r'´               \     \\/  ::::::::| ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: 「  ̄  ,|    |    |
      \  ヽ、              \___,/  :::::::::::|__|:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::: |__,/  ヽ_,ノ、_}             r'
` ー--  {    〉-、     ,. -、_ノ´ ̄ ̄ ̄ \ \\{ ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄/   r'⌒ヽ                  ヽ_,
      〉--〈,r''´ ̄ ̄ ̄`ヽ〉 -、 \     {_  /|__|:::::::::: |__|:::::::::: |__|:::::::::: |__  /    ヽ,__ノ       r'⌒ヽ
 *   {     ヽ,. -───-〈    }  \/´ ̄ _,,)  ー--  ̄__,|:::::::::: | ̄ ̄|:::::::::: | ̄ ̄/ヽ        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
     \  /          ヽ/` ー--一'´-、 r'´ ̄`l   r'"´ ̄ ̄`"''-、--;:: l  _,/、__ノ         |     Now     |
       /            ',〉   /   {   ヾ〕、_ノ_    |         ノ   \)    ̄ ̄   ー--   __,|            |
      |           |  ◇ /  ヽ、_ノ} \   〉 ',       i´ i´   ヽ,. -──-、        |  Loading ...   |   r'⌒ヽ
*      |、            ,|〉  /    〈   〉  ヽr'′  ヽ      ノ   ノ   /       \       |______| ヽ,__ノ
   ◇◇|   , -───く    |    /       ヽr'´        \ r'´ r'´    ,          ヽ      / r'⌒ヽ
  ◇◇<  !_/         ヽ,_! /ヽ、_         _,r'^ 一'´   `_ー--、/               ',    /   ヽ,__ノ
    ◇◇             /`ヽ、__  `ー'´ ̄` ー'´ _,r'^ 一'´      ,′            |  /
             *   /       ` ー'´ ̄` ー'´         |                |  /ヽ            r'⌒ヽ
      *        /                            |                | / _ノ              ヽ,__ノ

260 名前:(0/31):2010/06/27(日) 20:50:07 ID:966KN9V20
                ※ ゴ注意 ※

          コノ話ハ、 文章 ガ 主体ト ナッテオリマス上、
         AAハ 挿絵程度ノ 意味合イシカ ゴザイマセン。
         ソレ故、「文章ガメイン、AAハ挿シAA」ト シテ、
         読ンデ下サイマセ。

          尚、内容ハ 番外編 デ ゴザイマス故、設定ヤ
         出来事等ハ コノ話限リノ物ト ナリマス。
          マタ、コノ話ニハ 暴力的・流血表現ガ含マレマス。
         申シ訳ゴザイマセンガ、ゴ了承下サイ。

261 名前:(1/31):2010/06/27(日) 20:51:12 ID:966KN9V20
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

             世界中ノ優シサヲ ブッ死ロス
              #163 (番外編)  『悩メル 皆』

           585             690    66,_
          (−:::. )    725    (.::::::::.)   (:::っ:::)。
          (::::::.)   ( .::: , :)    ( :、,::)   ゚ (:l:::l:) 。゜
             | |   '(.:ァァ'       | |   ° | |

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

262 名前:(2/31)|(1/4):2010/06/27(日) 20:52:37 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 私、>>66が世界中の優しさを死ロしております、585さんことリーダーと、
725さんと690さんに加わらせて頂きましてから三年が経ちました。現在、
私は主に2chとその近辺の情報収集を、家事の方ではパーソナル
スペースや玄関等のお掃除の担当を承っております。また、皆様の
家事のお手伝いも、少々ですがさせて頂いております。
 皆様はかなりの年数を共に過ごしておられるそうですが、それに
比べましたら随分と関わる年数の浅い私を、有難い事にまるで最初から
一緒に居たかの様に親しく扱って下さいます。

 ところが最近になりまして、私はどうしても見え隠れ致します、皆様と
自身の過ごして参りました時間の差に、時としてとてもたまらない
気持ちを抱く様になってしまいましたのです。

『私は、本当に皆様に必要な存在なのでございましょうか。皆様と、
本当にこのまま一緒に居てもよろしいのでしょうか……?』

 私はその様な悩みと迷いに苦しむようになりました。就寝前や入浴時等
ふと一人になりました時、しばしばそれはぐるぐると頭の中を回りまして、
私はその度に辛い気持ちになっておりました。
 始めの一、二年は、色々と覚えたり慣れたり致します必要がございます。
事柄に一生懸命になっておりまして、そのような事を考える余裕も
ございませんのでしたが……。環境の変化に慣れて気持ちに余裕が
出来ますと、自身の存在意義を確立しておりませんでした事実に
気付いてしまいましたのです。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

         585    725    690      66、
        (, ^Д)  (^ヮ^,,)  (∀゚#)_    (−゚ ,)
         ノ ヘへ  、( , )、  G 。)    ι,( 、、

` ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー〜'ー'´
                       o °
                     66
                    (,,  )
                     ( -ヘ

263 名前:(3/31)|(1/4):2010/06/27(日) 20:53:32 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 それに対しまして、いくら自問自答を繰り返し気持ちを上向きにして
みましても、自分だけでは悩みと迷いが消えることはございませんでした。
このように悩んでおりました間は、とても苦しくて辛い時間でございます。
 しかし、そういった悩みなどを皆様に相談するなどといいます事は、
私には出来ませんでした。
皆様と関わった時間も経験も、遥かに少ない"新入り"という身分で、
どうして自身の必要性をお尋ねする事が出来ますのでしょうか。
皆様の貴重なお時間を、私の些細な悩み如きに削られて欲しくは
ございませんでしたのです。
 それに……。

 そもそも、私はたまたま危ない目に遭っておりましたところを、偶然
皆様に助けて頂いただけの存在でございます。
もしも、『本当は要らないけど、ああして出会ってしまったからには
仕方なかった』と等のお言葉を突きつけられてしまいます可能性に、
臆病な私はどうしても勝てませんでしたのです。
 そうした状態が……かれこれ一年近く続いたのでございましょうか。

『きっと、私は居ても居なくても問題の無い存在でございましょう』

 いつしか、私はそのような結論を導き出しておりました。もう、
悩み続けます事に疲れてしまいまして、自分で自分を否定して
しまいましたら、それは存外安心するものなのでございましたのです。
……私は元々悲観的な物の考え方をしておりまして。
 私はこのように悩んでおりました事を、決して皆様に気付かれぬ
よう、必死に隠し通しました。どうやらそれは成功致しましたようで、
皆様にはついに気取られぬこともなく、私は自分の中で完結
出来たと思いましたのです。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
                 66  _
             γ         `ヽ
              |      rュ  . . |
               ヽ、__   : : :ノ
                `γ: : : :ヾ
                   |:.:.:.:.:.:.:.|
                 ヾ:::::::::ノ:)
                   | ̄ |

264 名前:(4/31)|(2/4):2010/06/27(日) 20:54:16 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 あれは、俺達が66と出会って四年目を過ぎた辺りの頃だった。
 その日の俺達は、少し離れた街の裏通りにて「街にたむろす不良共を
見過ごす優しさ」を、そいつ達ごと死ロしていた。いつもの通り俺と725と
690で死ロしに死ロし、いつもの通り66は見張りを兼ねて、少し離れた
ところに居る。
 そんな、いつもの通り過ぎる状況で。だから俺は、俺達は、油断して
いたのだ。

 俺はまた一人、丁度目の前に立った奴のお腹に一発蹴りを入れて
死ロした。不良つっても所詮は一般人なんだし呆気ないもんだ、等と
思いながら辺りを見回して、新しい標的を探す。
 そうして丁度目が合った、まだ死ロされてない奴を見つけてそちらへ
向かおうとした。

 しかし、その刹那。後ろから気配を感じ咄嗟に振り向くと、さっき
死ロした筈の奴が、俺に殴りかかって来ていたのだ。

 しまった、倒れたことも確認してなかった。さっき死ロしきれて
なかったのか!

「わー!」

 思わず出たその声に725も690も気付いてくれたが、二人共絶賛交戦中
で こちらに向かう 余裕なんて無かった。っていうかもう庇ってもらう
どころか、自身で防御も 避けるのも間に合わない段階だった。

(あぁぁこれは駄目だ。一旦食らって反撃するしかねぇ……!)

 そう諦めて、とりあえず腕で頭を守る為に抱え込んで目を閉じた、
その時だった。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
-:;;;;                                         /
          725       690
 (,# 皿)三L(゚ヮ゚ ;)_     (,;`A) (Д #)                 ;::: :
  (   )   (   ) ((<二lG(   てー(   )         585        ;;;
 /  〉    / ´       ヽ┘  / 〈  G(# ワ) <(、< ;>
:;:;,,                         (  )    (   )
)ノ:;;                        / ┘     / く

265 名前:(5/31)|(2/4):2010/06/27(日) 20:55:39 ID:966KN9V20
-:;;;;                                         /
          725       690
(皿#|!てG三(|!゚O゚)     _(l|!゚A゚) (Д |!)_                ;::: :
   (   )     (   )ー     (Gl二フ  (   )         585        ;;;
 ヽ ┘     / 〈       /  〉   / ´ G(; ワ)  ( 。;l)
:;:;,,                         (  )  66,( ノ)
)ノ:;;                          〉 ヽ_((!|l  )。〈
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「り、リーダーッ!」

ガツッ

 このときの俺は何が起きたのか分かっておらず、まだ頭を守って
立っているだけだった。"おかしい。66の声と、何かが殴られ倒れる音が
聞こえた。"なんて、頭の何処かで妙に冷静に捉えていただけで、725の
「66っ!!」という叫び声で頭を上げて、漸く今の状況を飲み込めたのだ。
 ちょっとタイムラグがあった後、ようやく働いた俺の目と頭に飛び込んで
きたものは

――俺の目に前へ飛び出て庇って頭を強く打たれ、気絶していた66の
姿だった。

「66!!な、何で……!?」
「そんな、66……!どうしよう……リーダー、どうしましょう!?」
「く……」

 流石に二人共、明らかな焦りと困惑が声に顕れている。勿論俺とて
それは同じで、まともな思考が働かない。どうして戦っている俺達のところ
まで出てきた、何故俺を庇った?いや、今はそれを考えるべきではない。

「……っともかく、一刻も早く66を介抱して、後不良共を片付けなきゃ
いけねぇ!」

 そうだ、今やるべきはコレだろう。だからまだ残っている不良共は
725に任せ、俺と690で66を迅速かつ慎重に、運ぶことにした。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

266 名前:(6/31)|(2/4):2010/06/27(日) 20:56:24 ID:966KN9V20

            585             690
           (;゚Д)            (A<;)
            ( 、、  66        [+--G)
            〉 く`ヽ(_ _|!))_        | ヽ
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
***
 戻って来た俺達は、入り口のドアから一番近い部屋に66を運び込んだ。
俺は急いで66の布団を持ってきて、690には氷枕や救急箱を準備して
貰う。布団を敷いて66を横向きに寝かせ(実は66は後頭部を殴られた
のだ)、タオルで巻いた氷枕を後頭部に当てるように置いても尚、66は
目覚めてくれない。それを見た690の表情は、まるで酷い言葉に
傷付いた子どものようだった。
 さりとて俺だって同じようなカオをしているんだろう。と、先程一旦
ひっこめた思考が繰り返される。
だって。こんな、誰かが気絶してて意識が無いなんて状況は、今までを
振り返ったって片手どころか指三本立てたって余ってしまう。余って
しまうんだ、66。それぐらい、全くと言っていい程無かった事なのに。なぁ、
どうして俺を庇ったの。これでお前にもしもの事があったらどうすれば
いいの。俺を庇って最期を迎えるなんて、そんなの駄目だ、駄目だぞ66。
ねぇ、どうして目を覚ましてくれないの?

 とりとめも無く考えていると、出入り口のドアからガチャ、バッタンと
物凄い音が響いた。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

267 名前:(7/31)|(2/4):2010/06/27(日) 20:57:55 ID:966KN9V20

                 \从/    725
       585     __     690    (ヮ゚::;;)
      (|! д)  66__}    (|! ∀)     (;::;:;:)
      ,( シ)、 。(_ _|!)_)_ ,(   )、     | ヽ
            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「ただいまリーダー、690!!なー66は!!?」
「わ、ちょっと待て725。静かにしてくれ」
「あ、スンマセン…」

 ドタドタ酷く音を立てながら、725が俺達の居る部屋に大声を出して
入ってきたので慌てて注意する。一瞬で状況を把握した725は、途端に
バツの悪そうな顔をして、そうっと俺達のところまで来ようとする。が、
俺はそれを制止した。

「って、待て待て725。先シャワー浴びて来い」
「きゃっ!?よく見たら酷いカッコだよ?725」
「あーあーそーだった。うぃ、行ってくるです」

 725は予想していたよりも随分と早く帰って来たが、その見た目は赤と
黒が体全体の半分ぐらいぶっかかった酷い血塗れの状態で、血の
臭いも酷いモンだった。しかもアレ多分725の血じゃないぞ。速さを
優先した故だろうけど、どんな片付け方をしたんだろう。そして
どうやってここまで戻って来たんだろう。まぁ、誰も追ってきては
ないようだしそこらは上手いことやってくれて戻って来たんだろうけど。

 そう言えばと気が付いて66を振り返った。725が立てたそれは結構
大きな音だったけど、66は未だ目覚める兆しもない。690もシャワーを
浴びて戻ってきた725も、66を覗き込んで随分と落ち込んだ表情を
浮かべて呟いた。

「まだ起きてねーのか……」
「うん。……」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

268 名前:(8/31)|(2/4):2010/06/27(日) 20:59:14 ID:966KN9V20

             585    __     69、  72、
            (.:::::__)  66__}    (−゚ ,) (O゚ )
            ,( 、 ) __。( _ |!) )、__[+--ノ) 、ノノ ),
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 725は悲しそうに66に語りかけ、690は不安そうに俺に尋ねてくる。
「なぁ早く起きてくれよ、66。頼むよ」
「あの、リーダー、66、大丈夫ですよね?ま、まさか、こんなところで
お別れじゃぁないですよね?」
「…………」

 正直言えば、俺も二人と同じぐらい不安なのだ。だって66の顔色は
青白いし、後頭部にはたんこぶが出来ていて、おまけに体が冷たいと
分かるほど冷えているのだ。でも、そんな胸中をさらけ出す訳には
いかない。不安を煽るなんてリーダー失格だろう?故に俺は二人を
安心させるように言葉を紡ぐ、

「大丈夫だ。脈もあるし呼吸だってしてるだろう?命に別状は無いさ」

(そうだ、だから大丈夫なのだ)と、自分にも言い聞かせるようにして。
 690も725も俺の言葉に多少は救われたようで、瞳に少しだけ安堵を
感じさせる色が滲んだ。
 だけど。はたと思い出して後を頼んだ725に労いの言葉をかけても、
66の治療を任せた690に礼を述べても、二人はそれを受け取りは
しなかった。「だって66が目覚めてくれなければ意味がないです」と
当然のようにつっぱねる。そうだな、そう言えば当たり前のこと
だったな。やっぱり66の目が覚めてくれない事には、何をしても
喜ぶわけにはいかないな。そう言うのは四人揃ってやるべきだ。
そうだろ、66?

(だから66、はやくめをさまして)

 つらつらと、66に祈りを捧げるように心の中で語りかけた。66は
未だに意識の無いままだ。

――66の気が付いたのは、それから数時間が経ってからだった。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

269 名前:(9/31)|(3/4):2010/06/27(日) 20:59:57 ID:966KN9V20

           z z                  Z
             585  ?__    690  725 z
            (,,-д)   66_}。  (__-`,) (〜-,)
            ,( 、、 _(゚っ゙;))_ [+-G)、 、ノノ,)
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 唐突に、真っ暗から引き上げられるような感覚がございました。

 目は瞑ったまま自身に意識が戻りましたことを自覚いたしまして、
そうっと目を開いてみましたら、私は自分がどのような状況下に置かれて
おりますのか、全く以って把握が出来ませんでした。

 私は何時の間にやら此処へ戻ってきておりまして、お布団に寝かされて
おりました。後頭部には氷枕が当てられておりまして、手で頭を触れて
みますと、鈍く重い痛みがございました。そしてお布団を周り囲みます
様に、リーダーと725さんと690が座ったまま眠っておられましたのです。

 ……えぇと、何が起きたのでございましょうか。
(うぅむ……)

 自分一人では状況の分からない今、皆様にお話を伺うべきなのでしょう
が、眠っておられる皆様を起こしてしまいましてもよろしいのでございま
しょうか?とても失礼な行動のように感じられるのでございますが。
 しかし、皆様お布団もかけずに眠ったままではお風邪をひいてしまわれ
ますし、正直、まだ痛む頭の詳細も知りとうございます。ついでに自身の
手当てもしたいのですが、何故か690さんが救急箱をしっかと抱えて
おられまして。
 ……これは、皆様を起こす他ございませんのでしょう、ね。

「……」

(ですが……)
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

270 名前:(10/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:00:40 ID:966KN9V20

                      !
           z z      __           〃
             585   66__}   690   725
            (,,-д)(,;゚っ)) (__-`,) (¬゚ ,)
            ,( 、、  ,(、 )、  [+-G)、 、ノノ,)
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 私は、どうしても皆様にお声をかける事も、お体に触れる事も出来
ませんでした。
 さながら同級生の輪に入っていけない引っ込み思案な子どもも驚きの
臆病さに取り憑かれてしまいまして、お声をかけたいのにかけられない
状況に、体を起こしましてから先、動けなくなってしまいましたのです。

「〜〜っ」

「!」

 どうやら私の困惑が伝わってしまいましたようで、725さんがバチリと
お目覚めになりました。それに驚きまして小さく声を漏らしますと、725さん
が勢いよく私の方を見て来られ、お互いの視線が合いましたので
ございます。

 すると、見る間に725さんの頬が赤く上気されまして、まるで叫ぶような
大きな声を出されたのです。

「うおうっ!?66っ!!」
「!?」
「きゃっ!?」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

271 名前:(11/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:01:36 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 725さんのお声で、リーダーと690さんも弾かれるようにお目覚めに
なられました。
 ……少々刺激的な目覚めではございましたでしょうけれども、いやいや
私が起こすよりは良い筈でございますよね。私が起こしてしまいます前に、
725さんにリーダーと690さんを起こして頂けて、内心ホッと致しましたので
ございます。

 それはさておき。リーダーと690さんは、最初はまだ現に起ききって
いらっしゃらないご様子で、何事かと辺りをキョロキョロ窺っておりました。
しかし私に気付きましたお二方は、途端に驚愕と喜びを混ぜたような
複雑な表情で、先の725さんと同じような反応をなさったのでございます。

「一体何が……!あーっ!66!!」
「き、気が付いたんだね!?よかったぁ〜……」

 心配したんだからな。不安だったんだぞ!あれっ、僕のセリフ!?
などと、皆様が口々に色々とおっしゃって下さるのでございますが、
やはりと申し上げましょうか、私には要領を得られませんでした。

「あ、あの、えっと……申し訳ございません。私に、一体何が起きたので
ございますか……?」
「おぉ!」

 お話が分からないまま皆様に合わせる、などといいますのは、失礼で
ございましょう。ついでに救急箱をお借りしたい旨を690さんに申し上げ
ますと、「そんな、怪我した本人にやらせられないよ!僕がやって
あげる!!」と、妙に強くおっしゃられました。

「そうだった、そうだった。悪い66、あのな――」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

             , 85    66   69、   725
            (*゚Д)  (っ゚;,) (∀=,,) (ヮ゚*,)
            ,( 、、  ,(G__}  [+-G)、 、GG),
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄

272 名前:(12/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:02:49 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 690さんが有無を言わせず手当てして下さる中、リーダーと725さんから
事情を拝聴致しました。どうやら、私の中ではリーダーが危ない場面で
記憶が途切れておりました様でございます。しかし随分と私は思い切った
行動に踏み切ったようでございますが……。その結果がコレでは、私の
取りました選択に必要性などございませんです。

「それは、申し訳ございませんでした、皆様。私は、皆様にご迷惑とご心
配をおかけしてしまいましたのでしょうか……」

 それ故に謝罪を致しましたら、皆様は慌てたように「そんな事ない」
「気に病む必要なんてない」などとおっしゃいました。
 これには、私は少々疑問を覚えました。私なりに察するに、皆様は私に
不安や心配などといった感情を抱かれましたように考えられます。ですの
で、例えば「よくも不安を覚えさせやがって」や「全く、迷惑かけやがって」
などのお言葉で、私は罵られるべきなのではございませんでしょうか?
 ところが、私がその事を質問しようと致しましたら、逆にリーダーに尋ね
られたのでございます。

「しかし皆様……」
「なぁ66、お前はどうして俺を庇ったんだ。そんな事すればお前が怪我して
しまうなんて、お前自身が一番分かっていたことだろう?」
「え……」

 ぉぉぅ、その質問は予想外でございました。しかし、そのように質問され
たリーダーの声音は、今まで聞いた事の――などと申しましてもたかが
数年程度でございますが――無いくらい硬いものでございまして、
それは尚更に予想外でございました。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

            585     66   690   725
            (, ゚Д)  (っ゚;,)ヾ(A゚ ) (o゚ ,)
            ,(、 ),   ,( ノ)、[+-G)、 、ノノ ),
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄

273 名前:(13/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:03:55 ID:966KN9V20

            585     66   690  725
            (, ゚Д)  (〜-;) (A゚ ) (0゚ ,)
            ,(、 ),   ,( ノ)、[+-v)、 、ノノ ),
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「な、何故と問われましても……。ええと、気が付いたらリーダーの御前
に出ておりましたのでございましょうか……?ううむ、申し訳ございませ
んが私、その辺りの記憶から曖昧でございまして……」
「じゃ、そうなっちゃった原因は分かる?無意識下にやっちゃえたくらい
なら、何か日頃から思ってる事とか強く考えていた事があるんじゃない
かな?」

 690さんがおっしゃられた言葉に、私はふと昔の悩みを思い出しました。
しかし、それは昔、自分の中で納得した物の筈でございます。もしも
それが原因でございますのならば、私は「自身の必要性」についての
迷い 悩みを、未だに引きずってしまっておりますのでしょうか?

(……そんなはずは、)

 しかし、それを否定したくとも、それ以外の原因など考えられません
でしたのです。

「ご、ございませんと思われますが――」
「何でも良いから言えよ66。どんなに小っさい事でもいい、私等は茶々
なんて入れねーぞ」

 それでも言ってしまいたくは無く、隠そうと致しましたのですが、
このようにどもってしまいましては誤魔化し様もございません。何とか
(どうにか伝えずに済ませられないか)と、思考を巡らせようと致しました。
しかし、私を見透かしますように見つめて参ります皆様の眼がとても、
今まで体験した事の無い、真剣味に溢れておりまして。

(……これは言い逃れも出来ませんでしょう、)

 と、私は観念致しまして、ついに、こぼれる様に口に出してしまいました
のです。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

274 名前:(14/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:04:44 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「……私は、皆様と共に居てもよろしいのでございましょうか」
「え……?」

 皆様はポカンとしておられましたが、一旦口に出してしまいましたら、
もう溢れる言葉を止めることなど出来ませんでした。

「ま、前々から悩んでおりましたのです。お三方で、リーダーと725さんと
690さんの三人で、ずうっと前から一緒だった皆様と共に過ごさせて
頂いておりますと。私だけが、関わりの薄い存在で」

 それから、私は今まで溜め込んでいたことを、滔々と述べさせて頂き
ました。その間は皆様のお顔を拝見する事など出来ず、私は俯きました
まま、ただただ話すだけでございました。
 いつから、どうして悩んでいたのか。この悩みを皆様にご相談出来ませ
んでした事、等を。

「――この悩みを抱えたままの状態は、確かに辛く、苦しゅうございました。
しかし、新入りの身分で自身の位置を確かめる事等、おこがましいにも
程がございますし。何より皆様に相談致しましたら、皆様もきっとお困りに
なると思いましたのです。私は、その方がずっとずっと辛いのです。
 また、私は臆病にも『本当は要らない存在』と断言されてしまう可能性を、
捨てきる事も出来ませんでしたのです。
だったら、私は隠し通そうと決めました。事実、皆様には気取られては
おりませんでした様で、ございますし」

「そうして、一年ぐらい考え続けまして、私は、私を諦めてしまいました
のでございます。『私は居ても居なくとも問題のない存在』、と。

 ……いえ、未だ諦めきれていなかったからこそ、今回の結果を招いて
しまったのですけれども」

「それでも当時の私は、この結論に納得したのでございます。諦め故の
臆病で弱い、その上考える事を放棄した下らない考えでございましょう。
でも私は、それで良かった、のでございます、だって」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
                    66
                 γ     ,_  `ヽ
                   | ー      ー  |
                    ヽ、 っ    ,ノ
                   `γ   ヾ
                   |    /|

275 名前:(15/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:05:48 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

「だって、わたくしはもう、なやむことにつかれた……」

「……そのような訳で、今回の一連の騒動は、全て私の責任で
ございます。私が、こんな仕様も無い悩み迷いなど持たねば、このような
事など起こり得ませんでしたのです!改めまして、まことに、申し訳
ございませんでした……!」

 自分のつまらぬ言い訳と謝罪まで述べて、私は頭を深く垂れました。
 改めて口にしてみると、本当に下らない悩み迷いでございます。嗚呼
もう、これはひょっとしたら私はここから立ち去るよう命じられるかも
しれません。しかし、それもこうなってしまえば、こんな騒動を起こして
しまいましたのなら、仕方がございませんが。

「…………?」

 皆様は、一度として途中で私の話を遮られることはございませんでした。
私にしてみますと、一気に述べる事が出来ましたのは有難いのでござい
ますが……。
 しかし、皆様はこうして話が終わりましても尚、沈黙を貫いております
侭でございます。除籍命令どころか、罵りの言葉一つ、皆様はおっしゃ
いません。

「あ、あの……皆……さ、ま」

 私は皆様のそのご様子に不安を覚えまして。そうっと頭を上げて。
皆様のお顔を伺いますと。

 皆様は――酷く傷付かれた様な表情を浮かべられておりましたのです。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
     585                   690        725
 γ´ _,       ヽ             γ        、`ヽ  γ_,      、 `ヽ
   |    _O      O|              | O  _  O,,   |   | O    O_   |
    ヽ、´     <7 ,ノ              ヽ、  }__>  !|l,ノ   ヽ、 -っ  ´  ,ノ
    γ   ヾ´       66        `γ   ヾ      `γ   ヾ
      | \   |   γ´        `ヽ     | ̄ ̄ ̄|/|       ,′   \

276 名前:(16/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:07:18 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 なんてことだろう。
 なんてことだろう、なんてことだろう
 なんて事だろう!

 66がこんなにも思い悩んで、迷い苦しんでいたなんて。
 そんな66が、"こんなに"なっても尚、気付けなかっただなんて!

 725と690を窺い見れば、二人共ショックと哀しみと怒りがごちゃ混ぜに
なったような、要は傷ついた瞳でポカンと口を開けて、泣きそうな表情を
している。
 勿論俺とて同じような気持ちなのだ。ついでに心中には悔しさと絶望も
足されている。

(どうしよう、どうしたらいいんだ、どうしよう……"どうしよう?")

 そんな風に考えてしまった自分を、アホか、と自分で叱咤する。

(そんなの。一刻も早く66に謝って許して貰って、そしてもう一度――!)

「ごめん、ごめんよ66!俺達は、俺は本当にマヌケだ。俺はリーダーと
して、お前がどんなに隠したって気付いてやんなくっちゃいけなかったの
に!」
「ごめんな、ホント、ごめんな66っ。私等、66に酷いことしちまってたんだ
な」
「今更謝罪なんて、おこがましいかもしれないけど……ごめんなさい、
66!」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

             _,85   66    690  72、
            (;-Д)  (   ;)  (>A<;) (゚o ゚;)
            ,(:G: )、    (_ _)   ,( ノ)、 、 ノ_,)
                 ̄" ̄ ̄~

277 名前:(17/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:08:11 ID:966KN9V20
                      /
        690          /        66
      γ      ,_ `ヽ      /    γ´ _,      ヽ
        |   _    -‐ |     /       |   O    O|
      ヽ、{_)     ,ノ      /      ヽ、   -っ  ノ
        `γ   ヾ      /        γ   ヾ´
     「 ̄ ̄ ̄|   /|   /          _|  _|_   |
     {三┼三(´_)ノ_)   /           (_ヽ(_))
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 725と690と共に謝罪の言葉を述べると、66は慌てて俺達を庇い立てた。

「そ、そんな。皆様が謝る必要なんてございませんよ。先程から申して
おります通り、私が悪いだけなのでございますから」
「違う、そんな訳ないの、66。66が悪い事なんて一つもないの!」

 その66の言葉に、690がいきなり、悲痛さを感じさせる声で叫んだ。

「だって、66のお話を聞くに、元はと言えば僕達が66を置いてきぼりに
しちゃうような雰囲気を醸し出してたのが悪いんだもん!きっと僕達は
お話とか、態度とか仕草で66を除け者にしちゃってた!!」
「あ……!」

 そう声を漏らしたのは俺と725だ。690の指摘が的確だった。きっと
俺達は、自分達が気付かないまま、66を蔑ろにしているのだと感じ
させてしまっていたのだ。やはり俺達が全て悪い話だった。やっぱり
俺達は、今までずっと66を傷付けて来たのだ。

「だから66に非なんてなくて、逆に66が僕達を非難して然るべきなのっ!」

 66は690の言葉に怯んだものの、それでも口を開く。

「そ、そんな、私に皆様を悪く申し上げられる資格などございませんよ。
何故ならば、別に皆様があからさまな態度をお見せになっていらした訳
ではございませんのですから。皆様はずっと一緒にいらしておりますの
ですから、親密な雰囲気というものは、当然ございますのですもの」
「むしろ、きっと皆様はそのような壁など感じさせようとはしておりません
でしたのです。ならば、私はほんの些細な差――いえ、そもそもありも
しなかった物に心を乱してしまったのでございます」

 一拍おいて、66はほんのわずか、震えたようにも聞こえる声で言った。

「そのような訳で、皆様に罪悪感を抱かせてしまい、申し訳ございません。
その点に尽きましては私の説明が悪うございました」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

278 名前:(18/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:09:16 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 俺達の言い分を残らず潰そうとする66の言葉。ぐ、と詰まるも、それでも
俺達は何とか言葉を返す。ここで66を認める訳には行かなかった。

「66、お前が自分を責める必要は無い。さっきも言ったけど俺達は事実、
お前にそんな思いを抱かせちまった。それに、お前がそんなになるまで
気付けなかったんだぞ?」
「それは、私が隠さず、最初から素直に相談するなりすれば良かった
のでございます。」

「じゃあ、私等もお前も両方悪い!これでいーだろ!」
「そのような事はございませんです、725さん。私が、そもそもこのような
悩みを処理し切れなかった――いえ、そもそもこのような悩みを抱かな
ければ、私は皆様にご迷惑をかけることもございませんでした」

「〜〜〜〜っ」

 にべもない。俺達三人がかわるがわる何を言っても、66は「自分が
悪い」の一点張りだ。
 言い返せる言葉を思い付けなくなった俺達が黙ってしまうと、66は
溜め息を一つ吐いて、言った。

「今回のこれは、このような騒動を起こすと予想も出来ずに、自身の
勝手な暴走一つで動いてしまいました結果でございます。それ故、
むしろ私を責めて下さった方が、気が楽でございますのに……」

 66はそれをポツリと、どうにも虚ろと思わせるような声色で呟いた。

「く……」

 このままでは堂々巡りだ。でも、ここで俺達が66の言う通りに66を
悪く言ったって、それじゃ何の解決にもなんない。解決にすらならない。

「どうか、お願い申し上げます。私を責めて下さい。そして、何らかの
決着を皆様が付けて下されば、それでもう、よろしいではないですか
……」

 66は、疲れたような声で言った。出来るわけないだろう、だってお前が
悪いんじゃねぇんだもん。と、725が泣きそうな声で繰り返す。おい66、
725に泣きそうな声を出させるなんてよっぽどの事だぞ?
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

            _,85     66   690  725
            (; ゚−)  (,,-っ) (A<,,) (、::::::)
            ,(、 )   ,( ノ)、[+-G)、 、ノノ ),
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄

279 名前:(19/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:10:25 ID:966KN9V20

             _,85    66    690  72、
            (;゚Д゚)  (   ,)  (:〜:;) (>__<;)
            ,(、 )、     (_ _)   ,( ノ)、 GG )、
                 ̄" ̄ ̄~
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「……なー、何でそんなに私等を悪いと言ってくんねーの?私等、66が
許してくれて、信じてくれんなら何だってしてやるよ?命じられたら土下座
だってすっし、思いっきり殴ってくれたって良い。勿論やり返したりなんて
しねーよ?」

 725が少し擦(かす)れたような声で苦しそうに零した言葉に、66がはたと
目を見開いた。

「わたくしが、皆様を信じる……?」

 どうやら66は66自身を図り損ねているようだ。66の心に気付いていな
かったのは66自身だけの様で、690があーあのね、と答えた。

「66はさ、僕達を信じられなくなってるんだよ。信じられないし、頼れなく
って望む事を止めてしまってるの。66はね、66だけじゃなくて、66自身と
僕達を諦めてるんだよ」

 66が"そうなって"しまったのは、俺達が負わせてしまった悩みや迷いの
所為だ。66は『俺達に世話をかけるのが嫌』だから、俺達の誰にも相談
は出来なかったと言っていた。でも、そういうのの根源はつまり、俺達が
信じられないからなんだろう。

「僕達は、『66を要らない』なんて言う訳無いって断言出来るのに、66は
そういう僕達を信じられないから、僕達に怯えているの」
「俺達の間で、不信感とか疎外感を思わせるような事があっちゃ駄目
なのだ。それなのに、66にそういう感情を押し隠させてしまったのは、
俺達の……、いや俺の配慮不足としか言い様が無い」

 俺達はそこで言葉を切った。そして改めて謝罪を繰り返し、加えて
償いの約束を取り付けようとした。

「66を傷付けてごめんね、なんて薄っぺらい言葉だけど……ねぇ、
それでもごめん。ごめんなさい、66」
「そんでさ、なぁ、次は同じ事はもう無ぇって私等断言出来るよ?誓える
ぜ?」
「66が望むならの話だが、これからは66を仲間外れにしないように言葉も
話を選ぶ。何かあった時に相談しやすいような雰囲気だって作る。」

「だから、俺達を信じてくれよ。66……!」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

280 名前:(20/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:12:18 ID:966KN9V20

                   66
              γ´   _,     ヽ
                |      O      |
                 ヽ、      __ ノ
                γ   ヾ´ J
                  | \   |
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 話している間に、声が震えて涙が零れそうになる。でも、ここで泣いたら
駄目だ。66がそればかりを気に病んでしまい、話を進めてくれなくなって
しまう、と目に力を入れる。725と690もそれが分かっているようで、必死
に我慢してくれているようだ。

 66は次の言葉を見つけられないのか、視線をあちこちに泳がせている
ように見えた。しかし、それは見当違いだったのか、66は目を俺達から
反らしてポツリと呟いた。

「……み、皆様がそこまで必死になられる必要はございませんよ……。
私に気を遣われる必要も理由もございませんでしょう?」
「な……!」

 66の言葉にちょっと本気でショックを受ける。流石にそこまで隔絶される
のは予想外だ。66の言葉を否定しようと、出てきた言葉はついショゲた
調子になってしまったが、これはしょうがない事だろう。

「……そんな事無い。今必死にならなければ、66が危ないだろう?」
「……?」

 俺の言った内容が分かっていないらしい66の瞳に、喉の辺りから体の
芯まで貫いて、ぎゅうと押し潰されたように痛む。

 だって、66。66自身は気付いていないけど、お前の心は壊れかけて
いて、尚且つ俺達から心が離れていっているんだよ。

 66は自覚していないんだろう。66は初めて出会った頃より、ずっとずっと
敬語を徹底していて、より他人行儀になっている事を。お前の表情は前
よりずっとずっと硬く、変わらなくなって来ていている事も。66の瞳を改め
てじいと覗き込めば、光の透けない空ろなそれになってしまっている事
だって。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

281 名前:(21/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:13:43 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 今だって俺達を悪く言わずに、自身を否定するしかしてない。66は
"こんなに"なってしまった。心がそういう壊れ方をした。自分を悪くみる
ことしか出来なくって、俺達が悪いなんて微塵も思えなくなってしまって。
それで、それで、そうして自分だけを追い詰めて――追い詰められて
心を壊す。
 そして更に俺達から心が離れかけているのだ。だからこそ66は俺達
が、俺が何を言っても信じきれないし、俺達に希望を持てないのだ。俺達
を諦めて、頼れなくなって望めない。

 でも、66の心が壊れて離れかけているなら俺達は何としてでも66を
こちらに引き寄せる、その糸口
だけでも掴むまでだ。そう思いながら口を開く。

「なぁ、何度も言ってるけど66は悪くないんだ。もしも、俺達がお前に一言
でも気に掛ける言葉をかけてやれていたら、きっとお前は怪我してまで
無茶しなかっただろう」
「それに、66を責めたからって、それでお前の悩みや迷いは解決する
訳じゃないだろう。お前に責任を背負わせて気持ちを押し殺させたって。
それで俺達の間柄が円滑に上手く行ったって何の意味も無い。って
いうかそれは上手く行ってるとは言わねぇしな」

「ですが、私と皆様の出会いは偶然だったではございませんか」
「お前が危なかったあの時、『死ロス』という言葉を使ったのは偶然なの
か?でも例え偶然だとしても、そんなものは関係無い。こうして出会って、
一緒に居て。それで良いと思ってんだ。それで十分だろう」

「なぁ、そうだろう?だってお前も含んだ俺達四人は仲間なんだから。」

282 名前:(21/31)|(3/4):2010/06/27(日) 21:14:48 ID:966KN9V20

 66に語りかける内に、我慢している涙が零れそうになってしまう。ここで
泣く訳にはいかないのに、それでも耐え切れなくて、つい声が震えてきて
しまう。

「頼む、66。お前がまだ、俺達を諦めきっていないなら、もう一度だけで
良い。俺達にチャンスを頂戴?
 そうしたら、もう俺達は違(たが)えない。お前のことを見過ごすような
真似はもうしないって約束出来る、誓うから」

(66が"こんなに"なってしまってどうしよう?そんなの。一刻も早く66に
謝って許して貰って、そしてもう一度――)

「だから、お願い。どうかもう一度俺達を許して、頼って、望んで、

 ――信じて、66」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
                __ __  __
                |__ |__| |__
                __| |__|  __|
             γ´             ヽ
             ,'     ー- ' ノ    -‐',
              |     ‐-、       ,-‐|
             ',       _    ,'
              ヽ、     (__`)  ノ
                `γ      ヾ´
                 ,'        ',
                |   \     |\

283 名前:(22/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:16:04 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 私は、皆様のおっしゃられた言葉に困惑しておりました。

(私は皆様を信じられていないとか、頼れていないとか望めていない、等
と……そんな筈は。そのようなつもりはございませんのですけど……)

 しかし、よくよく考えてみれば皆様が正しいのかもしれません。もしも、
私が本当に皆様を信じられておりますのならば、「自身の必要性」をきち
んとお尋ねする事が出来るのかもしれません。先程のような、つい零れ
てしまいました程度のモノなどでは無く。

(皆様に、改めてお尋ね致しましてもよろしいのでしょうか……)

 私の必要性について、真実が自身にとって辛いものであるという可能
性は振り払えません。

(それでも、先程皆様はそのような事はおっしゃらないと断言して下さい
ましたし、それに……)

 改めて皆様のお顔をそうっと拝見致しますと、皆様は何かを耐えて
いらっしゃるような表情で、ただただ私を見ておいでになられました。
 その赤くなりつつある眼や頬や、噛みしめられた唇とか、震えて
いらっしゃったお声とか、に。

(私は賭けてもよろしいのでしょうか……?)

「……あ、あの、」

 "こうなりましたら、何を言われても受け入れましょう"と覚悟を決め
まして、皆様にもう一度お尋ねしようと口を開いたまでは良かったの
です。しかし、それから先が続けられなくて、私は再び俯いてしまい
ました。

「66?」

 725さんの気遣われておられるようにも、不安げにされていられる
ようにも聞こえますお声に、ますます身が硬くなってしまいました。
覚悟を決めたと思いましたのに、何と情けないのでしょう。
 思わず目の奥が熱くなり、涙の気配を感じ取った、その時でござい
ました。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
                    66
              γ´          ヽ
                |      _,   |
                 ヽ、     ,,O   ノ
                 γ   ヾ´

284 名前:(23/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:17:10 ID:966KN9V20

            585
        γ´ _       ヽ       66
          | ´   O     O|    γ        `ヽ
           ヽ、    ー- ノ    |  、_         |
            γ   ヾ´(_ ̄)    ヽ、O       ノ
             /|     |∨      `γ   ヾ
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「焦んなくていいぞ?俺達は『今度こそお前を違えもしないし見過ごさな
い』と、約束しただろ?」

 リーダーが一言だけ、そのようにおっしゃって下さいました。そのお言葉
に、私は何だか気が楽になりましたのでございます。

「……改めて、私は、必要でございますか」

 それからたっぷりと時間を費やしてしまいましてから、私がようやく
零したその言葉は、先程の皆様と同じぐらい震えております上に、どうに
もくぐもった聞き取り辛いものでございました。
この問いは今、何よりも私が聞きたいと願っております物でございます
のに。

「当ったり前だろー!」
「勿論だよ!」
「当然なのだ」

 しかし、皆様はこんなに聞き取りづらい問いに即答して下さいましたの
です。

「66が居なかったら、俺達は情報収集が出来ないんだぞ。66が来る前は
やりたくても出来なかったんだからな」
「66が居なかったら僕達皆の家事の負担が増えちゃうよ。66が66以外の
家事もお手伝いしてくれるから、少なくとも僕、凄い助かっているんだから」
「66が居なかったらフォロー役が居なくなっちまう!渾身のボケツッコミ
カッコイイ台詞がスべっちまった時、66が一番上手いフォローしてくれて
んだぞ!?66が居なくなったらそーいうのスベりっ放しなんだかんな!
そんなの超ミジメなんだかんな!!だから頼む居て下さいお前は必要
ですお願いしますのだ!!!」

 三者三様におっしゃって下さった内容に、私は今まで体験した事が無い
程の、胸の高鳴りを覚えました。

(私は、皆様に必要とされていると判断致しましてもよろしいのでしょうか?)

 私はその言葉の数々に、随分と気分が晴れたような心地を覚えました。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

285 名前:(24/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:17:55 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 ところが、皆様は更に言葉をお続けになりましたのです。

「でもなー、必要云々より、私はお前が居ねーとつまんねーんだぜ!三人
だった時より、今はずっとずっと楽しいんだぜ!」
「66が色々出来ることがあるけど、例え何も出来なくたって僕達は66を
要らないなんて言わないのよ?」
「必要だとか関係無いのだ。理由があろうがなかろうが、俺達はこれから
も四人でずっと一緒なんだ、だから、」

「お前は必要だよ」

 リーダーは一拍置いた後、何故かお声の震えが強まった調子で
おっしゃいました。先程の言葉だけで十分でしたのに、その上更に予想も
できませんでした程の嬉しい言葉。相変わらず俯いたままでございました
が、私は思わずもう一つの問いを、ポツリと零すように申しておりました。

「わたくしは、ここに、みなさまといっしょにいてもよろしいのですか?」

「ぃ、居ていいに決まっているだろ!」

 またもそのように即答して下さいましたリーダーのお声が、明らかに涙
声になっておりました。
 それにハッと致しまして頭を上げると、皆様はとうとう涙を零しておられ
たのです。

「お前は、居ていいよ、居てくれなきゃいけないんだよ……!」

 皆様は、皆様が約束して下さったとおりに、私を見過ごされませんでし
た。私は確かに必要とされたかったし、理由が無くとも皆様と一緒に居て
いいとも、確かにおっしゃって頂きたかったのでございます。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
    585                   690       725
  γ´  _,     ヽ     66       γ     ,_  `ヽ γ、    _,. `ヽ
 | 。‐-    _ -| γ´       `ヽ      |O    O  |   |O    O   |
  ヽ、   〈_/  ノ  |         |      ヽ、 }>    °ノ ゚ヾ、 へ   。°ノ
   γ   ヾ´   ヽ、        ノ      `γ   ヾ   °`γ   ヾ
    _|\__   |\_    γ   ヾ´        | ̄ ̄ ̄/  |      _,|    /|
    (_ヽ(_)(_)     |_    _|        {三┼(´_)ノ)    (_(_(´_)ノ
            (_)(_)

286 名前:(25/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:19:07 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 ――嗚呼、私は馬鹿でございましたね。皆様がここまで真摯に真剣に
答えて下さるならば、もっと早く皆様に悩みを吐き出し相談しましても、
きっと皆様は同じようにおっしゃって下さったかもしれませんのに。

「……皆様が、そのようにおっしゃって下さるならば、私は……もう悩む
必要なぞございませんね」
「66、」
「申し訳ございません。リーダーのおっしゃられた通り、私は、皆様を
信じきれておりませんのでしたね……無礼極まりのうございます」

 私がそのように申し上げますと、皆様は慌てたように急いたように
おっしゃいました。

「66は悪くねーよ!そりゃー限界超えるまで溜め込んだのは悪いかも
しれねーけど、でもそうさせちまったんは私達だぜ!」
「出来れば、これからはもっと早く相談してくれたり、無理して隠そうと
しないで居てくれると嬉しいけど……」
「でも、次からは俺達、お前が隠したってお前に気付くからな。頑張るから
な」

 仲間とおっしゃって下さる皆様を信じられなかった私は今までつくづく失
礼な人間でございました。しかし、リーダー達はそれでも私を責めるような
事をなさらないで下さり、とても嬉しゅうございました。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

            585     66   690   725
              (,,゚ー゚)  (っ-*) (゚∀T,) (゚O゚*)
            ,(、 )   ,( ノ)、 [+-G)、  、( G,)
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄

287 名前:(26/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:20:11 ID:966KN9V20

           \从/
            585     66   690   725
              (; Д)  (,;゚っ) (∀^,,) (ヮ-*)
            ,(、 )-  ,( ノ)、 [+-G)、 、∽,)
   ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 そのような時、690さんがふと「それじゃあねぇ、」といたずらっぽい、
かつとても良い笑みを浮かべておっしゃいました。

「これからは僕達を、何て言うか……もっと粗雑に扱ってくれてね?年月
なんて関係ないもの。リーダーはともかく、僕達は対等だよ?遠慮なんて
要らないの!リーダーはともかく」

 突然申された内容を飲み込めずポカンとしてしまいますと、リーダーが
慌てて690さんにツッコまれてました。

「ちょ、690、地味に俺をハブにしないで!」
「おおっと、確かにリーダーには態度改めねーといけねーよな!この私で
さえリーダーには超敬意はらってらー!」
「725は態度に出し切れてねーだろ!お前達俺をオチにしようとするんじゃ
なーいっ!」

「ふふ……、あ、すみません。でも……」

 そのようなご様子に、失礼ながら思わず笑ってしまいました。先程まで
の雰囲気がガラっと変わりましたのと、皆様のやり取りと、それから私自
身がとても安堵していた事で、つい我慢できませんでしたのです。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

288 名前:(27/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:21:23 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「おぉ、よーやく笑ってくれたな」
 725さんは、ニヤリと笑みをこぼしておっしゃられると、リーダーと690さん
も同じように、いたずらっぽく笑っておられました。

(そうおっしゃられれば、声を出して笑うのは久しぶりやもしれません)

 そのように思い当たっておりますと、690さんが少し苦笑しながらおっしゃ
いました。

「でも、リーダーのくだりはともかく、僕が言った事は本気だからね?66
だって、ちゃんと僕達と同じ立場。新入りだとか経験だとかは、気にする
必要は無いよ。敬語だって要らないし、呼び捨ても歓迎なの!」
「あ、はい……」

 690さんの言葉に肯定のお返事を致しましたが、私にはまだ難しいこと
かもしれません。一度心のおくまで染み込んでしまいました意識故、変わ
る事はなかなか骨が折れそうです。

289 名前:(27/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:22:13 ID:966KN9V20

「ま、ともかく……。さぁ、改めて、これからもよろしくな、66!」
 皆様がニッコリとした笑顔をお浮かべになられ、リーダーが一際大きな
声でそのようにおっしゃって下さいました。私はいよいよ嬉しくなって、
私にしてはハッキリとした声でお返事が出来ましたのです。

「……は、はい!」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

     585                  690         725
  γ´         ヽ           γ         `ヽ   γ         `ヽ
 |  O     O |            | O     ハ    |    |>     <    |
  ヽ"    ー一 ,ノ             ヾ、 ヽフ    "'ノ     ヾ、 -一ァ  "''ノ
  γ (_ ̄)´               `γ   ヾ       `γ   ヾ
   _| ∨  |、_               | ̄ ̄( ̄_)」       (_`)(_`)∨|
   (_ヽ、_ノ_)              {三┼三|__,ノ_)      (( ̄_)-ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Ζ _______________
                    __   __
                  l__   |__
                  |__|  |__|
                 γ´         `ヽ
                 ,'  -‐            ',
                  |   ○      ○   |
                 ', ,,    __     ,, ,'
                 ヽ、    ヽ_ノ      ノ
                 ι`γ      ヾ´
                 ,' |     | ',

290 名前:(28/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:23:56 ID:966KN9V20

                \从/
            585    66     690   725
          ヽ(,,>Д)   (,;゚っ)   (∀^,,)ノ_(ヮ゚*,)
            (   )ー  ,(   )     ,(   )   (   )-
            ┘/     | ヽ    | └  /  `
   ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
 ――あれから数日。66はとっくに怪我も治って元気になっていた。俺達
は以前のような、66に寂しい思いをさせないよう、尽力する日常を作り
上げつつあった。例えば俺達の間でしか分からない話は控え、話をする
必要があったら66に説明をちゃんとするとか、66を積極的に会話の輪に
入れるとか。

 そして、これもまた一つの変化。

「66、俺と一緒に買い物に付き合ってくれないk」
「ぅおーい66!私に2chの煽り耐性付ける特訓して!この前のお前超
カッコイーかったから!」
「ねぇねぇ66ー、僕だけじゃ寂しいから、一緒にお勉強しなぁい?」
「なぁ、お前達酷くね?何で俺の台詞に被せてくるのだ、酷くね?」
「スンマセンリーダー、でも譲れねーです」
「725に同じ」

 ……など、こんな感じで66を取り合うことがぐっと増えたのだ。
とは言っても、別に66に寂しい思いをさせないようと申し合わせてやって
いる訳じゃない。66は色々とやれる事が多いから、誰かに付き合って
欲しい時はついこうなりがちになるのだ。最近分かった事だけど、66は
実はとても得がたい人だったようだ。

「み、皆様……。一斉にどうなさったのですか?なにも、私などを誘う
必要はございませんでしょう?」

 それに対しての66は相変わらずだった。先の言葉も自然な口調で、
当たり前のように言ってのけてしまう。俺達は思わず絶句してしまったが、
ここで黙ったら66の言葉を認めてしまうも同然だと慌てて口を開く。
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

291 名前:(29/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:24:39 ID:966KN9V20
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥
「い、いやいや待て66!リーダーの用事はともかく、私の用事はお前じゃ
なきゃ無理だろて!他の奴等じゃ2chを上手く渡っていけねーんだよ!
お願いします!」
「あー!僕だって同じだよう!僕のお勉強について行けるの66しか居ない
の!」
「チクショウやっぱり俺が弾かれるのかよ!まぁ、一人でも行けるけど
さぁ……」

 思いっきり言い募ってみると、66は驚いた表情をしてから、少しの間
考え込んだ。そして、俺達の方を向き直って。

「では、私でよろしいのならば……。僭越ながら、725さんへの指導と690
さんのお勉強のお付き合いを致しましょう。」
「それから、リーダーのお買い物は、皆様と一緒に行かれればよろしいの
ではないでしょうか?」

 そう言う66の顔も、相変わらず表情が変わらないままだ。それでも俺達
は笑顔で承諾する。66の意見はもっともだし、何より俺達に、どれだけ
ちょっぴりの距離でも近づいて欲しいから。

「よし!66の案が合理的だから、その通りに行くか!」
「ラジャー!」
「えっ!?よ、よろしいのでございますか?」
「おう!66は構うのか?」
「い、いえ。リーダーが決めた事ならば、承知致しました……」
‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

            585    66     690   72,
           ( ゚ワ)   (っ゚;,)   (∀゚ ,)  (ヮ<*)ノ
           く  )     (  l)   G G )  ー(   )
            | 〉      | |    / /    | ヽ
   ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄

292 名前:(30/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:25:30 ID:966KN9V20
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 ――それから一年が経って、66が俺達の仲間になってから五年が過ぎ
た。
 しかし、未だ心は離れたままだし、壊れたそれは治りきってもいない。
 66は俺達に頼みごとやお願いをしない(俺達は66に普通に頼み事をし
て いる)し、例えば助けが必要な時でも、俺達に助けを求めてくれない。
敬語は相変わらずキッチリと使うし、表情も未だ固いままだ。いや、俺達
が原因なんだから文句なんて言う資格ないけど。

 それでも最近は少し、66が俺達に近づいて来てくれているような気もす
る。以前に比べると、66は随分と表情のバリエーションが増えた――と
言っても、ほほを赤らめたり冷や汗をよくかくようになったりだとかだけど
――し、ちょっとした冗談や軽口も叩いてくれるようになったし。後、モノに
よっては文句も言ってくれるようになったのだ。……大抵俺達が丸め込ん
でしまうんだけれど、優しさ死ロシの為だ、ごめんよ66。
 それはともかく、690や725も、そういうのを見つける度に嬉しそうになる。
勿論俺も嬉しくなる。

293 名前:(30/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:26:25 ID:966KN9V20

 正直な所、まだまだ心は遠いままだろう。しかし今はそれで良い。だっ
て、俺達もこれからもずっと仲間なのだから、まだまだ時間はたっぷりあ
るのだ。だから。
 いずれで良い、いつかでいいから。どうか66がもう一度俺達を信じて、
頼って、望んでくれれば良いなと思うのだ。



”あ……あの、申し訳ございません、皆様。少々、お願いがございますの
ですが――”



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     66  っ    585        725        690
   γ´      u ヽ γ        `ヽ  γ        `ヽ  γ        `ヽ
  |    O    |  |       O   |    |     O  |   |        ハ  |
   ヽ、''      っノ  ヽ、一ァ   "ノ    ヾ、' ̄ノ    "''ノ   ヽ、ヽフ  "'ノ
   γ   ヾ´     `γ   ヾ      `,γ   ヾ)      `γ   ヾ
     | \_  |、     _/|     |〉      _/ |     |       |     |!
    ヽ,_(_))   (_) 、__,ノ   (_) ヽ、_,,ノ       ヽ、_,,ノ_))
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294 名前:(31/31)|(4/4):2010/06/27(日) 21:28:33 ID:966KN9V20




                ── FIN ──